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通行者の体温を読み取る熱探知カメラのモニター。37.5度以上の熱で人影が緑色に変色する=ガザ南部のラファ検問所で前田英司撮影
【ガザ地区(パレスチナ自治区)前田英司】新型インフルエンザが各地で猛威を振るう中、イスラエル、エジプトに境界を閉ざされたガザ地区では21日現在、一人の感染者も出ていない。厳しい通行制限がインフルエンザ襲来を阻んでいるとみられ、医療関係者は「封鎖がもたらした恩恵」と、皮肉をこめて分析している。
「救急車の手配や隔離病室の確保など、備えは万全だ」。ガザ南部のエジプト境界にあるラファ検問所で、衛生責任者のハマド医師が強調した。検問所が開くのは約40日ごとに3日間だけだが、トルコの支援で熱探知カメラを導入して警戒を続ける。一方、ガザ北部のイスラエル境界にあるエレズ検問所でも、仮設のプレハブに医師が常駐して通行者を問診している。

 各保健当局によると、新型インフルエンザの影響でイスラエルでは既に48人、エジプトでも少なくとも7人が死亡した。これに対し、両国に境界を封鎖された「陸の孤島」のガザでは、感染さえ確認されていない。

 ハマス率いる「ガザ政府」のイサウィ保健省予防衛生局長は「境界封鎖の『恩恵』であるのは間違いない」と指摘した。ガザには域外から人が自由に直接入る手段がないうえ、封鎖が人の往来自体を著しく制限し、保菌者との接触・感染の危険が低減している、というのだ。

 しかし、ガザは365平方キロに約150万人が暮らす人口密集地。いったん感染者が出れば、一気に拡大する恐れはある。

 イサウィ局長によると、現在ある新型インフルエンザ対策の備蓄はワクチン800人分と、治療薬タミフル2300人分のみ。ワクチンはイスラム教の一大行事「ハッジ」(メッカ巡礼)の巡礼者用に特別輸入した残りで、タミフルは以前、鳥インフルエンザ対策で確保した分に過ぎない。

 赤十字国際委員会がハマスを拒否するイスラエルと交渉し、同国経由でのガザへのさらなるワクチン移送を調整しているという。
毎日新聞 2009年11月21日 19時14分(最終更新 11月21日 19時15分)

(※ ガザ地区について参考記事
 http://gooyan.kitaguni.tv/e609130.html
 http://gooyan.kitaguni.tv/e711463.html
元記事

http://mainichi.jp/life/health/news/20091122k0000m030036000c.html
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