2009/10/15 11:32

　新型インフルエンザに感染し多臓器不全で死亡した小２女児（８）＝西宮市内＝は、インフルエンザ脳症を併発していた。脳症は短時間で急激に悪化するのが特徴。重い後遺症が出るケースも多い。新型の流行拡大に伴い報告が相次いでおり、医師らは「重症化の兆候を見逃さないことが何より重要」と注意を喚起する。
　インフルエンザ脳症は、季節性インフルでも発症し年間約１００人の患者が出ている。５歳以下に多く、致死率は高い。タミフルなどによる治療も困難とされる。
　厚生労働省によると６日現在、新型による急性脳症（短時間の発症を含む）は４３人。５～９歳が２５人で最も多く、季節性に比べ年齢が少し高い。
　西宮の女児は１１日は微熱だったが、１２日になって悪化。出血性ショック脳症症候群、急性壊死（えし）性脳炎がみられた。
　新型による脳症について、神戸市立医療センター中央市民病院の春田恒和・小児科部長は「新型の特徴か、小中学生で流行しているためか。今は判断できないが子どもへの注意は必要」と話す。
　脳症の主な症状とされているのが、呼びかけに反応しないなどの意識障害やけいれん。春田部長は「保護者はしっかり観察し、異常を感じたらすぐに医療機関へ」と話し、「解熱剤を使う際は、ボルタレンやポンタールは避け、アセトアミノフェンを服用してほしい」と注意を促す。
　定点観測の報告数が注意報レベルの１０人を超えたことも懸念材料。重症者の多くが高齢者の季節性に比べ、小学３年以下の入院が目立つ。大阪大医学部の朝野和典教授（感染制御）は「患者数の推移から、まだピーク前と考えられる。今月末から来月にかけ、患者はさらに増えるのでは」と指摘している。
http://www.kobe-np.co.jp/news/shakai/0002444527.shtml