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9月,厚生労働省発行の医薬品・医療用具等安全情報にインフルエンザワクチンによる4例の副作用報告が発表された(医薬品・医療用具等安全情報No.181).そのうち3例はギランバレ-症候群(50代1例,10歳以下2例,2例ともワクチン接種量からは乳幼児と推定される),1例はけいれん(60代)の報告である.今年,私の勤務する病院では,ワクチン接種後のけいれん2名,急性脳症1例を経験し,すでに学会に発表した.それらの症例がこの安全情報に載っていないことから考えても(それ自体は不可解なことであるが),この報告は氷山の一角であろう.今回はインフルエンザワクチンと副作用の関係,中でもギランバレ-症候群との関係に焦点を当ててみた.
ギランバレー症候群とは,急に起こる末梢神経の麻痺を特徴とする病気である.神経に対する一種のアレルギー反応で,様々なウィルス感染やワクチン後などに起こる.自然に治ることもあれば呼吸筋の麻痺を起こして亡くなったり,半永久的に麻痺が残ったりする場合もある.今回,厚生労働省が報告した中の1例を紹介すると,10歳未満の男子が,2回目のインフルエンザワクチン接種19日後,階段で転倒し発症.21日後歩行障害.23日後ギランバレーと診断され入院.44日後依然歩行できず.107日後症状は徐々に改善状態という内容であり,典型的なギランバレー症例と思われる.
厚生労働省はこれら症例の報告を受けて,インフルエンザワクチンの重大な副作用に,けいれんの追加と,「ギランバレー症候群があらわれることがあるので,四肢遠位から始まる弛緩性麻痺,腱反射の減弱ないし消失等の症状があらわれた場合には適切な処置を行うこと.」を追加,改訂した.
ワクチン接種には必ず神経系の副作用,それのひとつであるギランバレー症候群が発症しうる.インフルエンザワクチンとギランバレー症候群の関係は特に有名で,日本でも2年続けてインフルエンザワクチンを接種し,2回ともギランバレー症候群を発症した同じ患者さんの報告もある.アメリカの研究では,年によって違うが,インフルエンザワクチンによって,ギランバレー症候群の発症の相対危険度は有意に高く,約1.7倍になる.
いわば予測された副作用が出たわけであるが,ワクチン推進者の口からはこのような重篤な副作用については一切聞かれてこない.頻度が極端に少ない?というのがアメリカのワクチンを止めない根拠であるが,果たしてそうであろうか?特に,乳幼児への接種経験は世界中でも日が浅い.広範囲な被害を防ぐためにも,厚生労働省は今回の副作用報告をうけて,ワクチンの接種を中止し,あらためて詳細な神経系の副作用調査を行うべきである.
【転載元】
■くすりのコラムNo.128: インフルエンザワクチンによるギランバレ-症候群
http://www.geocities.jp/ebm_ebn/news/2002/N0211_8.htm