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2009.12.21 01:13

 「新型インフルエンザ」の流行が続く中、例年なら年末に流行入りする「季節性インフルエンザ」の発生報告(確定診断)が1件しかないことが20日、国立感染症研究所への取材で分かった。年末にこれほど季節性の報告がないのは、少なくとも過去10年は例がない特異な事態。詳しい原因は不明だが、猛威を奮う新型の流行が、季節性ウイルスの増殖や感染の機会を封じている可能性を専門家らは指摘している。

 季節性ウイルスには「Aソ連型」「A香港型」「B型」の3種類がある。感染研では全国の地方衛生研究所に対し年間を通じて、地域で流行しているウイルスを抽出検査し、種類を確定した上で報告するよう求めている。通常の病院の診察時に行われている「簡易検査」では、ウイルスの詳細な種類の判別はできず、流行の詳細な状況は分からないためだ。

 例年であれば季節性ウイルスは、11月ごろから報告が出始め、12月から1月にかけて流行入りするのが通常。しかし今季は、11月1日から今月18日までに全国から寄せられた4624件の報告のうち、季節性ウイルスは「B型」の1件のみで、ほかはすべて新型ウイルスだった。

 感染研のデータでは平成20年の同時期には958件。19年は1277件、流行開始が遅かった18年でも74件、17年は533件の季節性ウイルスの報告があった。厚生労働省でも「これまでの動きとは、明らかに異なる傾向を示している」と指摘している。

 季節性ウイルスが検出されない原因について、喜田宏・北海道大大学院獣医学研究科教授(微生物学)は「多くの人が免疫を持たない新型ウイルスは、季節性ウイルスよりも感染しやすい。新型ウイルスの増殖と感染の勢いにおされ、季節性ウイルスが淘汰(とうた)されてしまった状態にある」と説明する。

 例年の季節性ウイルスの流行でも、異なる種類のウイルスが拮抗(きつこう)して流行することはまれで、いずれかが優位性を持ちながら流行する。今季は新型が圧倒的な勢力を持ち、他を押さえ込んだ可能性があるという。

 季節性のワクチンが品薄になるほど広く打たれたことや、手洗い、マスク着用などを多くの人が徹底していることなどを原因の一つとして指摘する声もある。

 感染研によると、海外でも、季節性ウイルスが流行している国はない。北半球より半年早く新型の本格流行を迎えた南半球では、流行当初は一部で季節性が混在した地域もあったものの、最終的にはほとんどが新型一色になったという。

 ただ、季節性ウイルスは今季、もう流行しないかというとそうとも言えない。昨シーズンの流行が当初は「Aソ連型」が主流だったが、3月以降は「B型」に入れ替わったように、ひと冬の間に流行するウイルスが入れ替わることがあるからだ。新型ウイルスの流行状況が12月に入り減少傾向となっていることもあり、専門家らは「1月以降に季節性ウイルスが流行する可能性は十分ある」と注意を促している。
http://sankei.jp.msn.com/life/body/091221/bdy0912210114000-n1.htm

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