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2009年11月07日 18:58 発信地:ニューヨーク/米国

【11月7日 AFP】米国内で5日、新型インフルエンザA型(H1N1)に感染すると最も重症化しやすい子どもや妊婦に優先接種されるはずのワクチンが、ニューヨーク・ウォール街(Wall Street)に集まる金融企業に配布されていると報じられ、激しい非難が巻き起こっている。

 ニューヨーク市衛生局によると、米金融大手のシティグループ(Citigroup)、ゴールドマン・サックス(Goldman Sachs)、モルガン・スタンレー(Morgan Stanley)はワクチンの供給を申請した。各社は大量の従業員を抱えるうえ、社内に診療所があるため申請資格はある。

■金融危機から積もった怒りが爆発

 しかし、新型インフルエンザのワクチンは現在需要を満たしていないうえ、ウォール街に代表される金融業界に対しては、もともと前年の金融危機が原因で世論の怒りが向けられていた。そこにこの報道で、批判は一気にあおられた。

 組合員に米国最多の医療産業従事者を抱えるSEIU(サービス従業員国際労働組合)のアンナ・バーガー(Anna Burger)副書記は、「リスクに接しているアメリカ人が何時間も順番待ちをしたり、門前払いされている状況なのに」、富も力もある民間企業がワクチンを確保しているとは「卑しい」と憤っている。

 コネチカット(Connecticut)州選出のクリス・ドッド(Chris Dodd)上院議員は、キャスリーン・セベリウス(Kathleen Sebelius)厚生長官に書簡を送り、「ワクチン供給が追いついていないときに、医療機関の前に民間企業が優先されることがあるとしたら衝撃だ」と記した。

 一方でニューヨーク市の衛生当局は、事実が誤って伝わっていると反論している。市衛生局広報担当のジェシカ・スカペロティ(Jessica Scaperotti)氏は、同市では金融機関と二つの大学への配布を許可しており、それはそうした機関には内部に診療所があるうえ、現在ワクチン供給量は十分だからだと説明した。

 また、そうした機関でも従業員ならば無条件に接種を受けられるわけではなく、妊婦や患者に接する医療従事者、慢性疾患を抱える人など公式に高リスクに分類されている人が対象だと述べた。「病院関係者にせよ医療サービス機関の職員にせよ、新型ワクチンの申請者には、リスク・グループに入る人にしか接種をしない点に合意してもらっている。批判している人たちはその点を見逃している」

 これまでに各金融機関が注文したワクチンは、シティグループが2200回分を申請して受け取ったのが1200回分、ゴールドマン・サックスが5400回分の申請に対し200回分、モルガン・スタンレーが1500回分を申請したままなにも受け取っていない、となっている。(c)AFP/SebastianSmith
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