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最新のレビューによると、世界的に使用されているインフルエンザ治療薬タミフル(一般名:オセルタミビル)によって肺炎などの合併症を予防できるとのエビデンス(科学的根拠)はないという。このレビューは英国医師会誌「BJM」および「チャンネル4ニュース」により実施されたもので、同誌オンライン版に12月8日掲載された。「科学団体がその効果を判断できない薬剤の備蓄のために、世界各国政府が多額の費用を注ぎ込んでいる」と「BMJ」編集長のFiona Godlee博士は述べている。
2006年以来の更新となる今回の新しいレビューでは、タミフルの予防効果、治療効果および有害反応について検討した20件の臨床試験を分析。しかし、この作業は研究者やロシュ社(タミフル製造企業)からの“良質なデータの不足”によって阻まれたという。著者らは、完全には公表されなかったこの8件の重要な試験の結果を検証することができず、この8件をレビュー対象から除外した。利用できるデータに基づいて分析した結果、タミフルが基礎疾患のない成人インフルエンザ患者の合併症リスクを軽減するとの主張には信頼性がないとの結論に達した。
このことから、各国政府はタミフルをはじめとするノイラミニターゼ阻害薬の安全性を監視する研究を実施する必要があると、今回のレビューを率いたオーストラリア、ボンドBond大学(ゴールドコースト)教授のChris Del Marr氏は述べている。また、今回のレビュー結果からは、オセルタミビルの評価、規制および販売促進に関するシステム全体についての疑問が浮上するとGodlee氏らは指摘する。
一方、タミフルの製造元であるロシュ社(スイス・バーゼル)は、タミフルに関するデータの確かさには確信をもっており、政府および各規制当局は試験データに完全にアクセスできるようになっていると主張。さらに、鍵となるデータを含めてタミフルに関するあらゆる試験の概要を作成し、パスワード式のウェブサイトで利用可能にする予定だという。
AP通信によると、世界保健機関(WHO)は、タミフルは早期に投与すれば新型(H1N1豚)インフルエンザの重症化を抑えることが世界各地のデータから示されているとしており、妊婦、高齢者、小児および慢性疾患患者など、合併症リスクのある人のために同薬を確保する必要があるとの見解を示している。WHOはタミフルに関するガイドラインを変更する予定はないとのこと。
原文
[2009年12月8日/HealthDay News]
http://health.nikkei.co.jp/hsn/news.cfm?i=20091217hj000hj